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多言語対応とは?メリットやWebサイトの多言語対応を進めるステップを解説

グローバル市場での競争が激化する中、Webサイトの多言語対応は大手製造業にとって、避けて通れない課題となっています。
なぜなら、インバウンド需要の回復や越境EC市場の拡大に加え、海外現地の顧客やパートナーとのデジタルコミュニケーション強化は、新たなビジネス機会創出の鍵を握るためです。
しかし、「多言語対応」と一言でいっても、単純な翻訳ではカバーできない現地の文化や習慣への配慮(ローカライゼーション)が不可欠であり、そのプロセスや適切なソリューション選定に悩んでいるご担当者様も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、多言語対応の基本から、企業にもたらされる具体的なメリット、そしてWebサイトの多言語対応を成功させるための具体的なステップをご紹介いたします。
多言語対応とは
多言語対応とは、Webサイトのコンテンツや製品情報などを、特定の母国語だけでなく、複数の言語で展開することです。
ただ翻訳するだけでなく、対象とする国や地域の文化、習慣、法規制、通貨、日付表記などを考慮し、現地のユーザーにとって自然で違和感のないように調整するプロセス全体を指し、「ローカライゼーション」とも呼ばれます。
ローカライゼーションとは、直訳では伝わらないニュアンス、専門用語、デザイン要素などを、ターゲット市場に合わせて最適化する作業を意味します。たとえば、製造業における製品の安全基準や専門的な技術用語は、国によって厳密な定義が異なる場合があります。ターゲットユーザーが「自分たちのための情報だ」と感じられるよう、文化的・専門的な背景を深く理解した上で、コンテンツ全体を最適化することが、多言語対応成功の鍵となります。
多言語対応が求められる背景
特に製造業の皆様にとって、多言語対応が避けて通れない課題となっている背景には、主に以下の点があります。
グローバルな事業展開の深化
日本の大手製造業は、既に海外市場での生産・販売活動を積極的に展開しています。製造拠点の多国籍化や、販売パートナーの多様化により、グローバルコミュニケーションの質が企業競争力を左右する要素になりつつあります。
現地顧客との信頼関係構築や製品理解の促進のため、単なる翻訳ではなくローカライズされた情報提供が求められるケースが増えており、Webサイト上の技術資料やIR情報、採用情報など、多岐にわたるデジタルコンテンツの多言語化が必須となっています。
インターネットユーザーの構成比
世界のインターネットユーザーのうち、日本語を母国語とするユーザーの割合はわずか数パーセントに過ぎません。残りの大多数のユーザーは、母国語で情報提供されているWebサイトを選ぶ傾向にあります。そのため、巨大な市場を取り込むには、多言語対応が不可欠なのです。
インバウンド/越境EC市場の拡大
コロナ禍からの回復を受けて、訪日外国人旅行者数が再び増加傾向にあります。観光業だけでなく、製造業にも波及効果が見込まれ、インバウンド消費を取り込むための多言語情報整備が求められています。
また、越境EC市場においても、日本製品への関心は高く、自社Webサイトや商品ページが現地語に対応していないことが、コンバージョン低下の原因になることは珍しくありません。
多言語対応は、新規市場開拓やグローバルブランディングの観点からも必要不可欠な要素となっているのです。
多言語対応のメリット
多言語対応を適切に行うことで、以下のような具体的なメリットを得ることができます。
売上の増加につながる
多言語対応による売上の増加の要因として、下記の2点が挙げられます。
潜在顧客のリーチ拡大と新規市場への参入
多言語化により、これまでアクセスできなかった国や地域の潜在顧客にリーチできるようになります。特に、海外現地の言語で技術仕様や導入事例を提供することで、リード獲得の機会が劇的に増加し、新たな販売チャネルの開拓につながるでしょう。
グローバルビジネスの足掛かり
営業部門やマーケティング部門が現地語での情報提供を行うことによって、現地法人や海外の販売代理店の営業活動を強力にサポートできます。これにより、商談の機会を増やすことができ、最終的に海外売上の増加につながります。
ブランド価値の向上につながる
多言語対応は、直接的な売上の向上だけでなく、ブランド価値の向上にもつながります。
専門的かつ正確な情報を現地の言語で提供することで、「顧客のことを真剣に考えている企業」として認識され、企業への信頼性が向上します。これにより、グローバルなサプライヤーやパートナーとしてのブランド価値を大きく高められます。
Webサイトの多言語対応を進めるステップ
ここでは、Webサイトの多言語対応を成功させるための、具体的なステップをご紹介します。
①多言語化の目的を明確にする
多言語対応のプロジェクトを開始するにあたり、「なぜ多言語化するのか」という目的を明確にすることが最も重要です。目的によって、どのコンテンツを、どの言語で、どの程度の品質で翻訳すべきかが決まるためです。
たとえば、次のような目的が考えられます。
- 特定のアジア地域でのリード獲得数を20%増加させる。
- 欧米のサプライヤー向けに技術文書のダウンロード数を増加させ、サポート工数を削減する。
②多言語対応するコンテンツを決める
目的を達成するためには、Webサイトのすべての情報を多言語化する必要はありません。まずは、ターゲットユーザーのニーズが高い情報に絞り込みましょう。
優先度の高いコンテンツの例としては、会社概要や、製品・サービス紹介、IR情報、技術資料(カタログ、マニュアル)、お問い合わせフォームなどが考えられます。
③多言語対応する言語を決める
ターゲットとする国・地域や、事業展開の優先順位に基づいて、対応言語を選定しましょう。たとえば、製造業であれば、主要な輸出先や、今後の成長が見込める市場の言語(英語、中国語、スペイン語、ドイツ語など)から順に対応を進めるのが一般的です。
④多言語対応の方法を決める
多言語対応には、主に3つの方法があります。目的と予算、運用体制に合わせて最適な方法を選びましょう。
| 手法 | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 新規サイト構築 | 言語ごとに独立したWebサイトを構築・運用する。 | 自由なデザイン・構成が可能。 | 開発・運用コスト、工数が膨大。更新管理が煩雑。 |
| CMSの多言語機能 | WordPressなどのCMSの多言語プラグインを利用する。 | ある程度のコスト抑制が可能。 | 翻訳品質の管理や大規模サイトには不向き。セキュリティリスクがある。 |
| 多言語化ソリューション | 既存サイトにタグを挿入し、翻訳・表示・運用を外部システムで行う。 | 導入が早く、コストが抑えられる。運用が容易。 | 内容や質がサービスに依存する。 |
⑤Webサイトのレイアウト・デザインを見直す
言語によってテキストの長さや読み方が大きく変わるため、レイアウトの見直しが必要です。日本語と比べて、英語やドイツ語などの欧州言語はテキストが長くなる傾向があります。翻訳後のテキストが枠からはみ出さないよう、デザインに柔軟性を持たせましょう。
また、ターゲット言語の書字方向(縦書き・横書き)や慣習にも配慮します。
⑥海外向けのSEO対策を検討する
多言語対応したWebサイトが海外の検索エンジンで適切に評価されるよう、海外向けのSEO対策も不可欠です。検索エンジンに対し、対応する言語・地域を正確に伝えるため、hreflangタグを設定しましょう。
また、キーワード対策については、日本語のキーワードを直訳するのではなく、現地のユーザーが実際に検索するキーワードにローカライズすることが重要です。
⑦Webサイトを運用する
多言語化したWebサイトは、公開して終わりではありません。海外拠点や現地パートナーからのフィードバックに基づき、定期的にコンテンツの正確性や鮮度を維持していきましょう。
Webサイトの多言語対応を進める際の注意点
Webサイトの多言語対応を進める際は、次の3点に注意することで、より良い多言語化が可能になります。
国や地域に合わせてWebデザインも整える
各国・地域には、好まれる色使い、レイアウト、写真の選定に関する文化的な違いがあります。たとえば、特定の宗教や文化を連想させる画像は避ける、あるいは、ターゲット国で好まれる配色を使用するなど、現地のユーザーの視覚的な違和感をなくすための配慮が、信頼獲得につながります。
言語切り替えの機能をわかりやすい場所に配置する
せっかく多言語対応していても、ユーザーが言語を切り替える方法がわかりづらければ離脱に繋がりかねません。言語切り替えのボタンなどは、サイトのヘッダーや右上など視認性の高い場所に設置するのが基本です。また、国旗アイコンとともに言語名を表示するなど、直感的なUI設計も重要です。
さらに、ブラウザの言語設定に応じて自動で表示言語を切り替える機能も、ユーザー体験の向上につながります。
多言語対応後も定期的に見直す
一度、多言語化しても、時間の経過とともに市場のニーズや法規制は変化します。このため、定期的にアクセス解析(ターゲット地域からの訪問者数、滞在時間など)を行い、効果を可視化し、改善点を見つけてコンテンツや翻訳品質を維持・向上させるPDCAサイクルを回し続けることが成功の鍵となります。
製造業における多言語対応の課題
製造業においては、特に以下のような課題が挙げられます。
専門用語・技術文書の翻訳難易度と翻訳精度
製造業では、化学・機械・電機といった分野固有の技術用語が多く、それらを誤訳すると、誤解や事故につながるリスクがあります。たとえば、仕様書やマニュアルの一語一句が契約や安全に関わる場合、一般的な翻訳ツールでは精度が担保されにくいことがあります。
そのため、業界知識を備えた専門翻訳者や、用語統一を支援するナレッジベース連携が不可欠となります。
翻訳後の情報の一元管理と更新コスト
多言語に展開されたWebページやドキュメントは、製品仕様の変更時などに同時更新が必要です。しかし、国・言語ごとに分散管理されていると、反映漏れや表記揺れが発生しやすく、業務負荷も増加します。
この課題に対しては、多言語コンテンツを一元管理できる仕組みと、CMSや翻訳支援ツールとの連携が重要です。たとえば、「ERAVIDAS(エラヴィダス)」を活用することで、製品情報の整合性と運用効率を同時に実現できます。
翻訳コストとROIのバランス
多言語対応には翻訳・システム改修・運用の各フェーズでコストが発生します。ROI(投資対効果)を確保するには、対象言語や対応ページの選定に戦略性が求められます。
そこで、全ページを全言語に翻訳するのではなく、マーケティング効果や取引実績が見込まれる市場に絞って段階的に多言語化していきましょう。
まとめ
多言語対応は、グローバル市場での競争力を維持・強化する上で、製造業にとって避けて通れない戦略的課題となっています。単に言語を翻訳するだけにとどまらず、現地ユーザーの文化・習慣に合わせた「ローカライゼーション」の視点を持ち、適切に設計・運用・見直すことが求められます。
特に製造業では、技術資料や製品情報の精度確保と一元管理が成功の鍵となります。本記事を通じて、Webサイトの多言語対応に関する理解が深まり、貴社のグローバル戦略において有効な一歩となれば幸いです。
しかし、専門的な翻訳品質の確保や効率的な運用体制の構築を、すべて社内リソースだけで解決するには限界があるのも事実です。 あかがねでは、製造業に特化したグローバル展開支援ソリューションを提供しており、翻訳業務の効率化から多言語サイトの運用までトータルでサポートが可能です。具体的な解決策をお探しの場合は、ぜひ下記ページをご覧ください。

