記事公開日
ISO 17100とは?翻訳品質を保証する国際規格をわかりやすく解説

目次
- ISO 17100とは?翻訳サービスの国際規格
- ISO 17100は何を審査する規格か
- ISO 17100とJIS Y 17100:2021の関係
- ISO 17100の対象範囲と注意点
- ISO 17100認証の翻訳会社に依頼するメリット
- あかがねのISO 17100認証
- まとめ
ISO 17100とは?翻訳サービスの国際規格
「翻訳を外注したいが、品質をどう見極めればよいのか分からない」——翻訳の発注では、成果物の良し悪しを事前に判断しにくいという悩みがつきまといます。そこで手がかりになるのがISO 17100です。
ISO 17100は、翻訳サービスを提供する事業者(TSP:Translation Service Provider=翻訳サービスプロバイダー)が満たすべき要求事項を定めた国際規格です。翻訳という成果物そのものを直接評価するのではなく、品質の高い翻訳を安定して提供するための「プロセス」や「体制」が整っているかを規定している点が特徴です。この記事では、ISO 17100とは何か、何を審査する規格なのか、対象範囲や依頼のメリットまでを、製造業の担当者の視点で整理します。
ISO 17100は何を審査する規格か
ISO 17100は、翻訳の品質を支えるさまざまな要素について要求事項を定めています。審査で確認される主な内容を整理すると次のようになります。
| 領域 | 主な要求事項の例 |
|---|---|
| 翻訳実務者の力量・資格 | 翻訳者・チェッカーなどが所定の資格・実務経験・力量の要件を満たしていること |
| プロジェクト管理 | 案件ごとに担当を割り当て、工程・進捗・要件を管理する体制があること |
| 技術的資源 | 翻訳・チェックに必要な設備やツール、情報セキュリティなどの資源が整っていること |
| 文書・記録の管理 | 案件に関する記録や成果物を適切に管理・保管する仕組みがあること |
ポイントは、翻訳者個人の技量だけでなく、翻訳→チェック(第三者による確認)といった工程を組織として回す仕組みが求められる点です。認証を受けている事業者は、こうしたプロセスを整備し、審査を通じて継続的に運用していることになります。翻訳の品質管理の考え方は「翻訳品質を管理する方法」でも詳しく解説しています。
ISO 17100とJIS Y 17100:2021の関係
ISO 17100は国際規格ですが、日本国内では2021年3月にJIS化され、JIS Y 17100:2021(翻訳サービス-翻訳サービスの要求事項)として発行されています。
JIS Y 17100:2021は、国際規格であるISO 17100を日本産業規格として取り入れたもので、要求事項の内容はISO 17100に対応しています。国内の認証も、このJIS Y 17100:2021(ISO 17100)を適用規格として運用されます。つまり「ISO 17100の認証」と「JIS Y 17100:2021の認証」は、同じ要求事項に基づくものと理解して差し支えありません。
ISO 17100の対象範囲と注意点
ISO 17100を正しく理解するうえで、対象となる範囲とならない範囲を押さえておくことが重要です。特に近年は機械翻訳の利用が広がっているため、この点は誤解されやすいところです。
- 機械翻訳(MT)出力+ポストエディットの組み合わせは対象外:ISO 17100は、機械翻訳の出力に人手で修正を加えるポストエディット(PE)を用いる工程は、規格の適用範囲に含めていません。この領域は別途ポストエディットに関する規格などで扱われます。
- 通訳は対象外:ISO 17100は書かれた文章を翻訳する「翻訳サービス」を対象とする規格であり、話し言葉を扱う通訳は対象に含まれません。
したがって、ある翻訳会社がISO 17100の認証を取得している場合でも、それは人手翻訳のプロセスが規格の要求事項を満たしていることを示すものであり、その会社が提供する機械翻訳+ポストエディットや通訳などのサービスすべてが認証対象になるわけではありません。機械翻訳との使い分けを検討する際は「機械翻訳とは」もあわせてご覧ください。
ISO 17100認証の翻訳会社に依頼するメリット
ISO 17100の認証を受けた翻訳会社に依頼することには、次のようなメリットがあります。
- 品質の裏付けになる:翻訳者の力量要件やチェック工程など、品質を支える体制が第三者の審査で確認されているため、発注前に品質を見極める手がかりになります。
- 取引先の要件に対応しやすい:海外取引や公共案件などで、翻訳の品質保証体制を要件とされるケースがあります。認証を取得していれば、こうした要件への対応がスムーズです。
- プロセスが標準化されている:案件ごとの属人的な対応ではなく、決められた工程で翻訳・チェックが進むため、担当者が変わっても品質のブレを抑えやすくなります。
もちろん認証は品質を判断する要素のひとつであり、実際の依頼にあたっては専門分野の実績や用語管理の仕組みなども確認するとよいでしょう。選定の観点は「失敗しない翻訳会社の選び方」で整理しています。
あかがねのISO 17100認証
あかがねは、翻訳サービスの国際規格であるISO 17100(JIS Y 17100:2021)の認証を取得しています。製造業の技術文書をはじめとする翻訳を、規格の要求事項に沿ったプロセスで提供しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録番号 | JSAT070 |
| 翻訳区分 | C(工業・科学技術)/(多言語) |
| 適用規格 | JIS Y 17100:2021(ISO 17100) |
| 初回認証日 | 2024年7月29日 |
| 認証機関 | JSA-SOL(日本規格協会グループ) |
翻訳区分「C(工業・科学技術)」は、あかがねが得意とする製造業・技術分野の文書に対応する区分です。「(多言語)」は、認証の対象となる言語ペアが特定の言語に限定されないことを意味します。認証取得の詳しい経緯や背景は「あかがね、翻訳品質の国際規格ISO 17100認証を取得」でご紹介しています。あかがねの翻訳サービス全体では、この人手翻訳のプロセスに加えて、機械翻訳+ポストエディットや翻訳コンサルティングまでワンストップで対応し、製造業の多言語展開を品質を保ちながら支援します。
まとめ
ISO 17100のポイントを整理します。
- ISO 17100は、翻訳サービス提供者(TSP)が満たすべき要求事項を定めた国際規格で、翻訳の品質を支える「プロセス・体制」を規定する
- 審査では、翻訳実務者の力量・資格、プロジェクト管理、技術的資源、文書・記録の管理などが確認される
- 国内では2021年3月にJIS化され、JIS Y 17100:2021として運用されている
- 機械翻訳+ポストエディットの組み合わせや通訳は対象外で、認証は人手翻訳のプロセスに対するもの
- 認証を受けた翻訳会社は、品質の裏付けや取引要件への対応、プロセスの標準化という点で依頼のメリットがある
翻訳の品質保証体制でお悩みの企業様は、ISO 17100(JIS Y 17100:2021)認証を取得したあかがねの翻訳サービスまで、まずはお気軽にご相談ください。

